【つれづれ】シェイプ・オブ・ウォーターを見て時が経ってから

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見てから、
1か月近くが経とうとしている。

見た直後は
平均的なボーダーから振り落とされた人の幸せの形ってなんだろう……?
と、自分をふくめ、停滞気味な知人を思いだして
その姿を重ね合わせそうになるくらい落ち込んだ。

一晩経ったときに、
映画内のダンスシーンや、小ネタを思いだしながら
これは「本当に映画を好きな人」がこだわって作った作品なんだなあと思ったり、
透き通りながらもどこか不安を覚えるような「緑色」の存在感を思いだしたり、
もしかするとイライザ(主人公であり、ヒロイン)こそ
間違って地上に流れ着いた人魚だったのではないかと
思いを馳せたりした。

とてもいい作品だった、と思う。

余白があって、見たものに何かを突きつけて、その物語を考えずにはいられなくなるから。


そして今、

思い出すのはヒール役のストリックランドさんだ。

ヒール役であるだけに、見ていて頭にくる男で、
職場にこんな人間がいるならば絶対に関わりたくないと思うような人だ。
それは、彼の凝り固まった考えと、どうしてそういう考え方をする人間になったかを
想像してみたところで変わりはない(少しばかり憐れみたくはなるけれど)

映画を見てから時間が経っても
こんなに人をモヤモヤさせる登場人物もなかなかいないだろう。

そんなわけで、私はこれから、
どうしても生理的に苦手な人のことやあまりにも凝り固まった人に出会ったときに
なるべくユーモアをもってヤジる手段として
「ストリックランドさん」と呼ぶことにしようと思う。

そういわれたら、言われた相手は不快になるのか?
それとも自分を改めようと思うのか。

できればこの言葉を使わない毎日でありたいと思いながらも
いざそれを口に出すことを、少しだけ楽しみにしている。