【美術展】ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

東京都美術館ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜に駆け込みました。



f:id:w-mani:20180323001232j:plain


何年か前にBunkamraでもブリューゲル版画を見た記憶がありますが、
150年にわたって続いた、ブリューゲル一家とその一派の作品を
一気に見ることができる
のは魅力的っ!
また、展示作品は
プライベートコレクションのため、ほとんどが日本初来日!だそうです。

なんと甘美な言葉でしょう。

会期前半に行けば2階の作品は撮影OKだったようなので、残念です。

作品が小さく緻密

作品が小さく、かつ、その緻密さを味わうものが多いため、
館内は割とフルで混雑している印象。
パリでも20万人動員したんだってね……!
双眼鏡を持って来ればよかったと後悔しました。
じっくり見るのも難しく、作品の良さを味わい切れなかったと思います。

フランドル地方」という言葉をよく耳にします。
ベルギーの約北半分を占めるこの地方は、繊維業で発展。
その豊かさの中でファン・エイクとか、ルーベンスとか、ブリューゲルとか。
多くの画家を輩出してきました。
今回の展示では、そんな地方の風景画をたくさん見ることが出来ます。

ブリューゲル1世(ピーテル1世)

バベルの塔」でおなじみ、ブリューゲル一家のパパです。

昨年来日して盛り上がりましたが、今回は展示無し。

f:id:w-mani:20180323001536p:plain

初期には「イカロスの墜落のある風景」などの、
古典神話を題材とした絵画も手掛けています。

f:id:w-mani:20180323001732p:plain

人の作風って大きくは変わらないのかしら。

彼は、農民の生活風景をテーマにした「農民画」を書きました。

日常生活の中でのささやかな楽しみや、
季節とともに働く農民の姿がありのままにかかれています。
きっと、パパブリューゲルも、
日々の生活をいつくしみ豊かな生活を送っていたのかな。

2人の息子を残して、若くして亡くなり(結婚後6年だったとか)、
現存する油彩画も40点ほどだといいます。
父を亡くし、母も亡くした後の息子たちは、
画家である祖母に引き取られ、そこで絵を描くことを学んだとも言われているようです。

f:id:w-mani:20180323002050j:plain

「雪中の狩人」も好きです。

ブリューゲル一族が画家として今でも知られているのは
実は祖母のおかげなのかもしれません。偉大だわ。

※あえての作品セレクトをしています。

ブリューゲル2世

息子①です。
父親の作品を模写したことで知られています。
父親譲りの緻密な模写、農民の生活風景を描いています。
ピーテル1世の作品は、ハプスブルク家などの王族貴族に好まれたため
一般市民は見ることもできなくなっていました。
そんな人たちに向けて模写作品は作られていました。

どうやら家計は苦しかったようです。

やっぱり一番気になるのは、今回の美術展でも大々的に使われている
「野外での婚礼の踊り」です。
みんな楽しそうなのに、花嫁だけが沈んだ顔をしています。
望まぬ婚礼なのか、旦那が消えたからか……?と考えていたら
懐妊のため、踊るのを控えているんだとか。どこまでもおめでたい絵です!

ヤン・ブリューゲル(ヤン1世)

息子②です。「花のブリューゲル」などと呼ばれます。
今回のブリューゲル展ポスターに描かれている「花」の絵を描いています。
花や果物などの(父や兄の緻密な風景画を見た後だと)
華やかでぱっと明るい作品が多い印象です。




工房作として、彼の弟子が書いているような
似たような作品もいくつか並べられているんですけれど
ヤン1世の絵には繊細さがあるように感じました。
ルーベンスと共作もしているようです。
彼もまた、最終的には風景画を手掛けるようになります。


やっぱり「始めた」人、「広めた」人、「進化・発展させた」人という、
上記3人の印象が強いのですが、
ヤン1世の息子であるヤン2世/アンブロシウスが引き続き風景画を手掛け、
そのまた息子も……というように
脈々とその手腕が受け継がれているのが面白いです。


「コピー」はやっぱり「コピー」で
同じものを題材としていても、違いがありますし、
やっぱりパパブリューゲルの繊細さはすごいなあ、とか
比べて見ることが出来るのも楽しいのです。

種をまく人のたとえがある風景

私が好きだなあと思ったのは、
「種をまく人のたとえがある風景」
フリー画像がありませんでした。

キャンバスが全体的にぼうっと青くて、
でもその青がとても澄んでいて幻想的なんです。

タイトルにも書かれていますが
「種まく人」のエピソードがもとになっている作品。

『種を蒔く人が種蒔きに出て行った。
 蒔いている間に、ある種は道端に落ち、人に踏みつけられ、空の鳥が食べてしまった。

 ほかの種は石地に落ち、芽は出たが、水気がないので枯れてしまった。

 ほかの種は茨の中に落ち、茨も一緒に伸びて、押しかぶさってしまった。

 また、ほかの種は良い土地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ。』

ルカによる福音書第8章4節から8節

私、聖書に疎くてですね……。
必死で検索して探したんですけれど。

一生懸命種をまいても、
それを受け入れる人もいれば、様々なことがあり、受け入れない人もいる。
それでも種をまきつづけなさいということです。

作品を観てると、とっても細かいのですが、
(キリストを模した)人が巻いた種に
トラブルが起こっている様子も見受けられます。

何があろうと一喜一憂せずに種を巻き続ける。

自然の中で、農作をして生きていた人には
自分たちにコントロールできるものには限界があると知ることは
当たり前のことだったんだろうな。

パソコンに向かって、仕事をしている現代だと
やれ効率が悪いとか、お前に能力はないとか言われるんですけれど
(だんだん嫌なことを思いだしてきた)
理性とか頭で動かすことのできないものに
身や人生をゆだねることも必要なのかな、なんて、考えてしまいました。

個人的な趣味で語らせてくださいな「音声ガイド」

音声ガイドが石田彰さんです。
音声ガイドをやられているイメージが無かったのでびっくりしつつ
ちょっと時間が無かったのでパスしましたが、
小さな作品を観るだけに借りておいた方が良かったなあ、と思います。
ファンには好評のようです。小芝居してるんだってね?

声優の音声ガイドといえば、
ミュシャ展の三宅健太さん(ヒロアカのオールマイト)とか
クラーナハ展の斎賀みつきさん(ひたすらイケメン)とか
がすぐに浮かんでくるのですが、外れ無しなので払っても良かったかも。
諏訪部様が音声ガイドしてたワイン展逃したの今でも後悔してるんですけど
音声ガイド聞きながらワイン開けまくりたいし(※展示みながら飲めません)
そもそもあの声でワイン展ガイドなんて、なんてえっちな(以下略)

個人的には、ナレが微妙な芸能人を使うよりも
アナウンサーやナレーションのできる声優さんのガイド
あと落語家もものによってはハマるので好きです。
発音がしっかりしてて、テンポの取り方が上手なんですもの。
もうもう当たり前だけど、ナレーションウマいんだもん。
人によっては作品の背景とかもしっかり解釈した上で読んでくださるし。
以前アナコメ録りの仕事をしていたので、めっちゃ気になるんですうまいかどうか

グッズもおしゃれ

図録の表紙を2パターンで選ぶことが出来ました。
これって制作費どうなるんだろう、と思ったりもしましたが、
選択するという楽しみもあって購入する人もいるのでしょうか。

表紙は兄ピーテル2世の《野外での婚礼の踊り》もしくは、
弟ヤン1世親子による《机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇》です。
女性だとお花ごのみでしょうか。

その他、4色展開されているトートバックも可愛くて
物欲が溢れそうになりました。こらえました……。
今4月になりそうだけどもしサンタさんがいるなら
ペパーミントグリーンのトートバックが欲しいです。

雑感

ヤン1世の作品なんかは、
「売る」姿勢が透けて見えるようで好きでした。

まだ絵画は貴族のものではありますが、
それまでの「神話の世界」や「王族をえがく」絵画から、
市井に生きる(って言ってみたかっただけ!)人々の姿が
いきいきと描かれるようになっているのがまた楽しい。

写真が発明されていなかった時代に生きた人々が
どんな生活をしていたのかなーと思いを馳せました。
……絵のサイズが小さくてしっかり見切れなかったけど……。

ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜

www.ntv.co.jp