【マンガ】「我らコンタクティ」単館映画がマンガになったようなニッチな世界観

本当に伝えたいことがギュッとギュッと詰まっていて、
一瞬の間に思いが駆け抜けていくようなマンガ。
ニッチな映画作品が好きな人や、
物事を突き詰めるオタク気質の人は
きっと見ていてどきどきするんじゃないかしら。

それが「我らコンタクティ」

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

2018年のマンガ大賞にもノミネートされていました。

あらすじ

冴えないOLの主人公・カナエは、
ロケット開発に熱を注ぐ小学生時代の同級生・ヨシキと再会する。
「仕事辞めたい!金が欲しい!」
そんなヨコシマな気持ちからロケット開発に首を突っ込んでいくが
ヨシキの目的を知り、彼を取り巻く人と関わる中で変化が起こる……

面白ポイント

子どもの頃に置き忘れたロマンがよみがえる

宇宙に行きたい、とか、空を飛びたいとか。
そんな可愛らしい願いを誰もが抱くことがあると思います。
少なくとも私はそうでした(どーん)

けれど、大人になって自分の限界を見る中で
もともとなかったものにしていったり、
どんどん現実に寄り添う形に変えざるを得なかった。
これからの時代は分かりませんが、
今30歳以上の人は生活と引き換えに
夢をあきらめた人がたくさんいたと思うんですよね。

そんな夢、ロマンが詰まっていて
童心を思いだすようなマンガです。

子どもの頃の願いを愚直に叶えようとする人がいるから、
大人になって現実を見ている人ほど、
ちょっと泣けてくるのではないでしょうか。

テンポが良くて、キャラクターも可愛い

読者対象がユニセックスな印象です。
少女漫画のようにキラキラしすぎず
少年漫画のように暑苦しすぎず、ギトギトしすぎず……
性別を感じさせないような、
ほどよい細さの線で描かれたキャラクター。

金がほしい。
仕事がなあなあでつらい。
男と女の情念。
弟へのこらえらきれない感情。

彼らの「負」が見え隠れするような
心理描写もあり、
そちらも物語の中心に置かれているんですけれど、
とてもライトに描かれているので重くない。

淡々と物語が進むので
「めがね」とか「かもめ食堂」みたいだな、と思いました。

漠然とした感想ですね(笑)

ロマンにあふれているけれど、
暑苦しくなくてどこか冷めている。
近すぎない距離の登場人物たちの関係性に
2000年以降の物語、という雰囲気が見えます。

あと、物語の終わり方が本当にかっこいい
なんだかおいてけぼりにされているような
読者さえも突き放すような幕引きだから
息をのんだままページをめくり続けて
そのまま夢から覚めることができたような、
そんな気持ちになりました。

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)

サクッと、気分転換したいときにどうぞ。

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