【美術展】私たちは見てるのは本当に現実?レアンドロ・エルリッヒ展@六本木森美術館
20年ほど前に大ヒットになった「マトリックス」
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それまで自分が当たり前だと思っていた世界は
コンピュータによって作られた仮想世界だった。
っていう衝撃のSFストーリーで、
なおかつワイヤーアクションが印象的だったのですが、
「マトリックス」ほどではないけど、
今いるここって現実なの?という疑問が沸いてきた展示、
それが「レアンドロ・エルリッヒ展」でした。
会期終了が4月1日なので急げ!です。
どこをきりとっても「フォトジェニック」体感型展示。
レアンドロ・エルリッヒという名前は知らずとも
金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」だよ、と言えば
ぴんとくる方も多いと思います。
自分が作品の中に入り込むことができる作品ばかり。
「当たり前だ」と思っていることが虚構だったり、
思わぬところに抜け道があったりすると、
狭い世界の中の思考にとらわれて生きているのかもしれないな、と思います。
「だまし絵ミュージアム」にいるような気持ち。
「既存の当たり前」にとらわれていると、
いつの間にか時代にも置いていかれることってあるなあと思いまして。
私はスマホを持ち始めたのも4年前(必要に迫られてようやく)
という、なかなかのアナログ人間なので
自分の在り方についても考えねばなあなんて。
当たり前をひっくり返す
キービジュアルになっている「《建物》」という作品は、
「建物」が描かれた床の上に寝っ転がって、
向かい側に付けられている鏡を見ながら思い思いのポーズを楽しむ、
というものです。
垂直にあるはずのものが平面、床になっている面白さ。
そして、その上に寝っ転がって自由にポーズを決める(写真を撮る)ことで
めちゃめちゃ身体能力の良い人か、
なんかの能力者になった気分にいられる愉快さがあります。
この作品は、写真に撮ってインスタグラムに挙げてなんぼ……
という世界なので、来場者同士が声を掛け合っているのも
また新しいコミュニケーションが生まれていて面白かったです。
六本木という場所柄、外国の方も多くいらっしゃるので、
そのコミュニケーションがグローバルになっていて
それも見ていて楽しかったなあ。
作品にインスパイア
私が好きなのは、「《眺め》」という作品。
ブラインドの中から、アパートを覗き見るんだけど、
ヒッチコックの「裏窓」っぽくありませんか?
昔みた北欧系の映画(名前をどうしても思いだせない)の街並みを
彷彿とさせる作品もありました。
「《失われた窓》」という作品なんかにも、
単館系の淡々とした映画の雰囲気がちらほら。
映画も作れそうな人、もしくは映画が好きな方なのかな、なんて。
【感想】
このような体験型のアートは数多くありますが、
作品という箱のなかで徹底的に世界観が作られているというのが印象的でした。
インタビューを探してみたところ、
彼の父親が建築家ということもあり、
「スペース」の作り方にはこだわりを持っていそう。
初台のICCなどで体験することのできるインタラクティブなアートとはまた違って、
私たちも作品の中にいざなわれて一体化しているような感覚が心地よかったです。
レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル
会期:2017.11.18(土)~ 2018.4.1(日)
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ17:00まで
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
料金:一般 1,800円/学生(高校・大学生)1,200円/子供(4歳~中学生)600円/シニア(65歳以上)1,500円