【WEB】いまでも、ダルちゃんを読んでいる。

流行にのって、波に乗るのがうまく
さーっと物事に飛びついて、
鮮度が良いときに味わい尽くして
消費しきってしまう派でしょうか。

私は、
そうやって物事を掬って生きていけたら
どんなにかいいだろうに、とため息をつく派です。

私は本当に好きになったものを、
ブームが去って忘れ去られた後でも
淡々とそれを追い続けることが多いです。
本当に好きなものは20年ぐらい好きでいられるし、
10年間同じものを使い続けることも平気。

みんなが記憶の隅っこに追いやっていたものを
新しく掘り出して光を当てたり、
再度磨き上げていくような資質はあると思います。
(ただし、根拠はない)


そんなわけで、でもないのですが、
一時期とても話題になった「ダルちゃん」の更新を
いまでも楽しみにしています。

hanatsubaki.shiseidogroup.jp

擬態の先に得るものって?「ダルちゃん」のあらすじ

ダルちゃんがネット上で話題になったのは、2017年の11月のこと。

togetter.com


本当は「ダルダル星人」だけれども、
社会における「普通の女子」に擬態しきって生きているダルちゃん。
そこに自分の意思はなく、
求められるがままにやり過ごす毎日です。

それを見抜き、ダルちゃんのためを思って手を伸ばす
「強い女子」として描かれるサトウさん。

ダルちゃんはそんなサトウさんを疎ましく思いますが、
「模倣」することで招いた結果によって傷つき、
何もない、ダルダルの自分に、改めて向き合います。

※ここまでがだいたい10話までのあらすじで、
2017年度に更新された分です。

他人事ではない物語


ここまでのストーリーの中に漂うのは閉塞感。
ネット上では地獄だ、という感想をはじめ
100人いれば100人が自分の経験を通した感想をつづっていました。

私も悲惨な20代前半を思い出しました。
今のように景気も良くなく、3年で辞める若者に苦言を呈されていた。
毎日泣きながら会社に行きましたし、
ストレスによって出社できなくなる、1つ上の先輩も何人も見てきました。

「どうせ腰掛でさっさと辞めるんだろう」とか
「女の子だからそんな無理しなくていいのに」とか。
言われるたびに悔しくてたまりませんでした。

結婚適齢期をすぎて
確かに若いうちに「素敵な旦那様(社会通念的にね)」を見つけて
結婚するのがイージーな人生だったのかなあ、と思うこともありますが。

たくさんの「女子」たちにとって
いや、女子じゃなくてもかなあ。
そうあるべきがコミュニティの中で決まっていたり、
何に作られてるのかわからない世間一般に右ならえをしなければならない空気。

ダルちゃんに漂う閉塞感は、
たくさんの人が自分の経験と重ねては何かを思い出さずにはいられないものでした。

時代の空気感に沿うっていうのは
こういう作品のことをいうのかなあ、と考えながら読んでいました。

自分の「着飾り方」を探す旅


傷つき、「ダルダル星人」の自分に向き合ったダルちゃんは
サトウさんの話に耳を傾け、
擬態ではない、自分自身の本当の気持ちに向き合って
自分自身の心を震わせるものを選んでいくようになります。

「自分探しの旅」っていうと安っぽくて嫌なのですが。

ここから先にダルちゃんが見つけていくものは
都合よく世の中を渡るための「擬態」ではなくて、
自分自身が何を求めるかということを自覚し、
自分を守り社会を生きていくための「鎧」
女子であれば、化粧やおしゃれの「着飾り方」になるのでしょうか?


そういえば、私も昨年、
笑えるくらいにボロボロになりました。
24時間ずーっと戦闘(仕事)モードから抜け出すことが出来なくて、
体が追いつかなくなっていっただけなんだけど、
私、今やばいなあと思ったので
いろんな人の話を聴いていくようにしていた中でこんなことを言われました。

「化粧も身づくろいも、あなたを外の世界で守る」って。

華やかな経歴(仕事も異性関係も笑)のお姉さまに言われたこと、
なんだか妙に説得力がありました。

「きれいな恰好は自尊心を守る力になる。
 化粧を落とすまでは力んでいても、
 化粧を落とすことでリラックスしていいんだ、って自分に命じる。
 オンオフの切り替えにうまくファッションを使いなさい。
 あと、自宅をただただ安らぐ場所に作り替えなさい」って。




ダルちゃんは、「物語」として淡々と続いていきます。
ダルちゃんは自分を構築するものに少しずつ気が付き始め、
新しいキャラクターとの出会いでコミュニケーションの取り方も変わり始めました。
もう「擬態」ではない彼女はこれから何をどうしていくのか。

この先の物語を楽しみながら、
私自身も、自分のこれからを淡々とデザインしていこうと思います。