【企画展】「仁和寺と御室派のみほとけ~天平と真言密教の名宝」展@東京国立博物館

東京国立博物館の特別展「仁和寺と御室派のみほとけ―天平と真言密教の名宝―」に行ってきました。2月末で来場者20万人ですって!

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仁和寺といえばパブロフの犬ばりに「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」(徒然草)と呟きたくなる私です。あの仁和寺です。叩き込まれた義務教育の記憶恐るべし。

2つの展示室での展開となり、
前半は書を中心に、後半は仏像を中心に展示されています。
時間が無く、さくっと見たい方は、
2つ目の展示室から見たほうが満足度UPすると思います。

とくに外せないポイントは下記のとおり。



空海の「三十帖冊子」公開

遣唐使として唐に渡った空海が、
経典を写経してきたものをまるっと全部公開。

こちら、1月末までの公開だったので、見ることが出来ませんでした。
国会図書館のデジタルコレクションか図録か公式グッズで見るべし。

②国宝「千手観音菩薩坐像」

2月中旬より公開となった千手観音。

www.fujiidera-temple.or.jp


大阪・葛井寺の本尊、奈良時代の国宝です。観音のまわりをぐるりと囲む゛千の手”と”千の目”。本当に1000もの手が作られているものを見るのは初めて。
そのうち40本の大きな手には様々な造形のものを持っています。
髑髏とか、槍のようなものとか。埃除去にものすごく気を遣いそう。

これを360度ぐるりと囲んで見ることが可能です。
すみからすみまでぐるっとまわったのですが
まったくのスキもないくらい手がいっぱいありました(語彙不足)

本堂の拝観と本尊のご開帳は決められていて、
毎月18日と8月9の千日まいりの日のみなので、
今後見る機会があるのかもわからない貴重っぷり。
仏像の中でもものすごい圧と製作者の執念を感じる作品です。

③国宝「薬師如来坐像

入ってすぐのところにある
小さな小さな座像(10cmあまり)で、
日本で最も小さな国宝仏像とのこと。
とても綿密に作られており、優美。
白檀でできており、光背には日光菩薩月光菩薩と七仏薬師。
台座には十二神将が彫られているそうです。この小さな像に!!
小ぶりながらも品の良さを感じられます。
だいたい大きな仏像ってそれがあることで圧倒されるのですが
小さいながらも存在感を放つものもあるんですね。

2017年の国宝展にも出品されていましたが、
本来、秘仏であるためなかなか見ることが出来ないもののようです。

仁和寺の観音堂再現

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通常は非公開とされる、観音堂の内部を再現。
しかも撮影OK!ふ、太っ腹~!!!!
老いも若きもみなスマホやデジカメを向ける空間になっていて
ゆっくり観賞するのは難しいかな。
私が見に行った時は
ドセン最前を陣取って不動のおじいさまがいらっしゃいました。強い。

仏像の展示を後ろから見れるのが楽しいんだな。
壁画もデジタルスキャナで再現されていてリアル。
これだけでも見に行く価値はあると思うのです。

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そのほか

この企画展、そもそもタイトルが長くて12文字もある。
その中に「仁和寺」「御室派」「みほとけ」と3つのワードを詰め込んでるから
展覧会のインパクトが弱いのです。
それが本当に勿体ないって思うくらい中身が良かった

実際、注目度もそこそこだったようですが、
「運慶展」や「怖い絵展」の混雑っぷりを思えば
集められた仏像をゆっくり見れる機会に足を運ばないのは勿体ない。

実際、今回展示されている仏像は遭遇レア度が高いものが多いようです。

徳島の山の奥にある雲辺寺からやってきた千手観音菩薩
アクセスも決して良くはない上に秘仏なんだとか。
たぶん自力では拝みに行けない遭遇率激レア仏像。

リタイア後にゆっくり時間を取ってお遍路でも……
というわけにはいかないので
このような機会を逃さない手はないなと改めて思いました。

仁和寺展をさらに楽しむ

グッズコーナーの購入者を対象に
御朱印を頂けるサービスもありました。
事前に情報を仕入れてなかったので、手ぶらでいって少し後悔。

今回の特別展にあたって
マンガ「阿・吽」を書かれているおかざき真里さんとのコラボグッズもあり。
クリアファイルがつかいやすそう

個人的にはフェリシモさんとのコラボ
「千手イヤアクセサリー」(ピアス・イヤリング)の存在感が気になりました。
手を模している部分のとげとげ感、かわいいとおもいます。


※グッズは公式よりスクリーンショットをお借りしました。


そうそう、おかざき真里さんの「阿・吽」

1巻がちょっとグロくて(青年誌だし)一度読むのを辞めていたのですが
展示を見てから一気読みしました。
当時の社会の雰囲気や、精神的なお話にもなるので
全体的に重苦しく内に内にこもっていくストーリーが続くのですが、
5巻あたりで舞台が唐になると、開けた展開になって読みやすさも増します。
特別展に行く前に読んでおけばよかったと後悔。

おかざきさん、「サプリ」や「&」でも
モノローグの描き方が上手いなあと思って読んでおりました。

空海の書が紡がれるシーンが流れるように美しく印象的に書かれているので、
これを読んでおくと前半の展示を倍は楽しめただろうなあ。

仁和寺について

宇多天皇によって創立された、真言宗御室(おむろ)派の総本山。
皇室とゆかりの深い寺で、出家後の宇多天皇が住んだとから
「御室御所(おむろごしょ)」とも言われています。
1994年には「古都京都の文化財」として、世界遺産に登録。

桜の名所でもあり、4月には「さくらまつり」も行われています。